舞台っていいな。
日本にいる時は学生だったし、お芝居を観に行く楽しみを知る前に
ヨーロッパに来てしまった。
その後は仕事や子育てで、外出なんて考えられなかったが、
最近はミュージカル好きの子どもたちのおかげで、
色々な舞台を一緒に楽しめるようになった。
ブリュッセルの中央にある公園に、18世紀に建てられたテアトルがある。
そこで、今回はミュージカルを観た。
パリ・カンカン。
年増のスターが、若い新入りに凹んだり、
奮起したりする。
そしてどんなに盛り上がったチームにも、プロジェクトにも、
終わりが来る。
人生は、どんどん変わっていく。
そのことをしみじみと感じるカンカンだった。
おばちゃんの、以前ほど足が上がらなくなった踊りでも、
高い声が出なくなった歌でも、
今までの経験が滲み出る、熟し切ったパフォーマンス。
若い子の、キレのいい踊り、澄んだ歌声、
恥じらいのある、蒼茎のようなパフォーマンス。
その蒼茎に弾き飛ばされていく
落ちてしまいそうな熟した果実。
尊敬と対峙と悲哀。
ともかく、経験が蓄積した演技っていいもんだなあと、
とっても勇気をもらった、そんな舞台だった。