実は、わたしは無伴奏の2年前に、
すでにコーチのもとに行っていた。
「お頼み申すー」
コーチングは、一月に一回で、
10回を目安に目標を決めて、
その目的に向かって自分を整えて行くのだ。
わたしは、マタイ受難曲のソロを弾く度に
極度緊張していたので、
イースター目標の10回コースを終えていた。
その時の1回目が終わったあと、
(これは衝撃的な始まりだった。それはまた後で。。。)
日本に行った。
その折、いとこが岩手県の方にいる、
マッサージ師のところに連れて行ってくれた。
いろいろ見えるので、何か言ってくれるだろう、
と言うので、わたしはとっても興味本位にわくわくとして
付いて行った。
さあ、揉んでください、と
のんびり横たわり、
一体何が見えるんだろうと期待していた。
すると、まず肝臓辺りをもみ始め、
「肝臓固いね」とおっしゃる。
日頃酒飲みのわたしは、びくっとしつつ、
「どうしてでしょうか?」
と恐る恐る伺った。
すると、
「感情が溜まっているよ、
肝臓は第2の頭脳で、ここで感情が滞っている」
その途端、それまでお気楽に横になっていた私の目から
ドバーッと涙があふれ、鼻水も出て、
とんでもないことになった。
悲しい訳ではない。何もない。
しかし、涙が止まらない。
マッサージ師の女性は、続けて言う。
「自分に向き合えばいいんだよ。本当の自分と。
体験するのが人生なんだから、
どんなことでも楽しみなさいよ」
わたしは、それまで自分では、
正直に生きているつもりだったし、
大体ハッピーだった。
しかし、わたしの涙は、
「やっと見つけてくれてありがとう」
かのごとく、溢れるわ、溢れるわ。
バスタオルでも持って来てくれ、というほどであった。
バスタオルの代りにティッシュをくれて、
ついでに「心配すると来るんだよ」という
猫が来た。
そんな始まりから2時間半、
たっぷりと揉まれながら、
ずーっと鼻水と涙が止まらず、
意味も分からず、困惑していた。
本当の自分と向き合っていなかったんだー、と。
そして最後に、
「なんか大きい楽器が見える。
それを使って何かやりたいことがあるんでしょ?
霧が見える。それを取り払ってあげるから、
自分のやりたいことをやって、
本当の人生を生きなさいね」
と言われた。
わたしがマッサージを受けている間
買い物に出かけていた、いとこが戻って来て、
一緒に帰る道すがらも涙が止まらなくて、
恥ずかしいんだけど
どうもこうも、自分の意志とは関係なく
涙と鼻水がずっと止まらなかった。
続く。。。。