チョコとビールのおいしいベルギーに住んでウン十年。
ヴィオールをかついで旅することの多い日々。
I'm sorry, it's only in japanese...

実は、わたしは無伴奏の2年前に、

すでにコーチのもとに行っていた。

「お頼み申すー」

 

コーチングは、一月に一回で、

10回を目安に目標を決めて、

その目的に向かって自分を整えて行くのだ。

わたしは、マタイ受難曲のソロを弾く度に

極度緊張していたので、

イースター目標の10回コースを終えていた。

 

その時の1回目が終わったあと、

(これは衝撃的な始まりだった。それはまた後で。。。)

日本に行った。

その折、いとこが岩手県の方にいる、

マッサージ師のところに連れて行ってくれた。

いろいろ見えるので、何か言ってくれるだろう、

と言うので、わたしはとっても興味本位にわくわくとして

付いて行った。

 

さあ、揉んでください、と

のんびり横たわり、

一体何が見えるんだろうと期待していた。

すると、まず肝臓辺りをもみ始め、

「肝臓固いね」とおっしゃる。

 

日頃酒飲みのわたしは、びくっとしつつ、

「どうしてでしょうか?」

と恐る恐る伺った。

すると、

「感情が溜まっているよ、

肝臓は第2の頭脳で、ここで感情が滞っている」

 

その途端、それまでお気楽に横になっていた私の目から

ドバーッと涙があふれ、鼻水も出て、

とんでもないことになった。

悲しい訳ではない。何もない。

しかし、涙が止まらない。

 

マッサージ師の女性は、続けて言う。

「自分に向き合えばいいんだよ。本当の自分と。

体験するのが人生なんだから、

どんなことでも楽しみなさいよ」

 

わたしは、それまで自分では、

正直に生きているつもりだったし、

大体ハッピーだった。

しかし、わたしの涙は、

「やっと見つけてくれてありがとう」

かのごとく、溢れるわ、溢れるわ。

バスタオルでも持って来てくれ、というほどであった。

バスタオルの代りにティッシュをくれて、

ついでに「心配すると来るんだよ」という

猫が来た。

 

そんな始まりから2時間半、

たっぷりと揉まれながら、

ずーっと鼻水と涙が止まらず、

意味も分からず、困惑していた。

本当の自分と向き合っていなかったんだー、と。

 

そして最後に、

「なんか大きい楽器が見える。

それを使って何かやりたいことがあるんでしょ?

霧が見える。それを取り払ってあげるから、

自分のやりたいことをやって、

本当の人生を生きなさいね」

と言われた。

 

わたしがマッサージを受けている間

買い物に出かけていた、いとこが戻って来て、

一緒に帰る道すがらも涙が止まらなくて、

恥ずかしいんだけど

どうもこうも、自分の意志とは関係なく

涙と鼻水がずっと止まらなかった。

 

続く。。。。

 

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    1月29日から、

    わたしのソロCDが発売開始になります。

    なんと、初めてのソロ!

     

    今までアンサンブルやオペラの通奏低音での録音が

    主体でしたが、無伴奏を録音したその理由とは?

     

    いつもこのブログでお目にかけている

    画家のよこたみのるさんは、

    ヴィオールが大好きで、自宅でコンソートの会を

    週一かな?で催していて、

    高知のヴィオール好きが集っていますが、

    ある時、よこたさんに、

    「チェンバロもヴァイオリンもいらない、

    ヴィオールの音だけを聴きたいから、

    ひとりで演奏に来て下さい」

    と言われたのです。

     

     

    ソロを弾くときでもチェンバロの伴奏のある

    マレやバッハなどを弾くのが常だったので、

    無伴奏!とは、いかがなものか。

    年齢的にも、経験からしても、

    みなさんから私は

    ビビる人間ではないと思われていたと思います。

     

    しかし、

    「みんなで一緒にコンソートしましょうよ」

    と、仲間と楽しく演奏して来たわたしの心臓には、

    実は毛が生えていなかったのでした。

     

    しかし、

    「ひとりで演奏なんて、怖過ぎてできません」

    と言ったら女がすたる。

     

    そこで、まず弾ける曲は何か、

    楽譜を見てみました。

    意外と弾けそうな曲はあるもんだなーと。

     

    それから即、メンタルトレーニングのコーチに

    セッションの申し込みをしました。

    これは、音楽家にはあまり浸透していませんが、

    スポーツ選手たちは、当たり前のように

    コーチにトレーニングしてもらっています。

     

    試合の瞬間に、全力を出し切ること、

    これはコンサートと共通していることです。

    胆の据わった音楽家もたくさん知っていますが、

    同じくらい、緊張でハッピーになれない音楽家も知っています。

    謙遜と卑下と自尊心を行ったり来たり。。。

     

    緊張がやけに場所をとるのには、生い立ちや、自分の思い癖、

    心の壁など、さまざまな理由があり、

    自意識過剰な自分を創り出したり、

    自己嫌悪でどうしようもなくなったり。

     

    それぞれが個人的に

    自分の緊張と向き合っています。

    緊張しても、そこにフォーカスしない人もいます。

    わたしも緊張しても、それに執着しないよう、

    あれこれ試して来ましたが、

    ある時、もう自分の力では突破口がない、

    と感じて、コーチのセッションを受けに行ったのです。

     

    続く。。。。

     

     

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      留学前に自分の演奏を録音したテープを

      ヴィーラント師匠に送った。

      そしたら筆無精で有名なヴィーラントから

      フランス語で返事が来た。

      フランス語の勉強を始めたばかりのわたしは

      緊張しながら一字一句を辞書で調べて拝読した。

      そこに、

      「Je crois que vous pouvez entrer」

      と書いてあった。

      このcrois(原形はcroire)を辞書で調べたら、

      「(神などを)信じる」とあった。

      わたしは、ヴィーラントが神を信じるように、

      「あなたが入学できることを信じる」とおっしゃっているのだから、

      鼻血が出そうなほど「すごい!」と思った。

      母に興奮して、「信じてるって!」と報告したほどである。

       

      ベルギーに来て少ししたら、このcroisが、

      多分、わかんないけどー、のような時に誰でもよく使う、

      ただの「思うよ」だとわかり、

      てへへ、と思った。

       

       

      それをこの前なぜか思い出して夫に話したら、

      夫もバロックヴァイオリンで留学する前に録音テープを送って

      シギスヴァルト氏に返事をもらったそうだ。

      その英語の返事に、

      「I'm looking forward to working with you」とあり、

      まだ勉強もしていないのに、もう一緒に働こうって言われちゃったよ!

      と興奮し、

      お母さんに「一緒に仕事するのを楽しみにしてるって!」と報告したそうだ。

      今となれば、フランス語でも英語でも、働くという単語を

      レッスンや家で練習すると言う時に、自分たちも使っているのだが。

       

      それにしても、ドキドキの留学前にした、

      ちょっとしょってる、幸せな勘違いだった。

      そして、出会う前からもう似ていたのかねー、と

      「割れ鍋にとじ蓋」の自分たちを大いに笑った。

       

       

       

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