チョコとビールのおいしいベルギーに住んでウン十年。
ガンバをかついで旅することの多い日々。
I'm sorry, it's only in japanese...
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英語の電話がかかって来ると、

ほとんどが夫に用事だ。

フランス語だとわたし。

 

その日も女の人から英語の電話だったので、

名前を聞くのも早々に、ちょっとお待ちを−と言って

夫に受話器を渡した。

あれ?マリーレオンハルトって聞こえたような?

 

そうなんです、奥様のマリーさんからお電話。

グスタフ(親しい人はウッティーと呼ぶ)のお誕生日に、

モーツァルトのクインテットを家で聞きたいということで、

クイケンカルテットに+1でお呼ばれの夫。

その際、ご家族連れでどうぞとおっしゃるではないか。

よかったらお泊まりください、と。

えぇ!ほんと?

 

今度は息子を妊娠中でのんびり家にいたわたしと娘、

行きますよ、行きますよ、アムステルダムに。

レッスンのときはレッスン室とトイレだけだったが、

こんどはお泊まりだ。どんな家なのか!

 

さあ、着いた途端に泊まる部屋に案内される。

一番上のそのまた上。急な階段を上りつめた部屋。

昔で言うと、女中部屋。物置き部屋の横だ。

古い机や絵が雑然と置いてある大きな部屋の横の、小さな一部屋。

しかし、ちゃんと私たち3人が泊まれるようにして下さってあった。

白いシーツがピーンと。

 

ちなみにヴィーラント・クイケンと

ヴァイオリンのフランソワ・フェルナンデスは

子ども部屋で二人いっしょだ。

みんながリハーサルの間に、見に行ってみた。

縦につながっていて、小さい。

フランスのお城などもそうだが、昔のベッドは案外小さい。

みんな今より背が低かったそうだ。

ここはオランダだけど子ども部屋のベッドだからか、

小さくて足が伸ばせない、と

ふたりはちょっとだけぶつぶつ言っていた。

 

シギスヴァルトとマルレーン夫妻の寝室はちょっと大きくて、

ドアのすき間からしか見えなかったけど、

大きなベッドの横に、お盆を両手に持っているような様子の、

等身大の黒人で、古い時代のものらしきお人形が立っていた。

どの部屋もバロック時代の色と布だ。

 

階段の踊り場が案外広くて、

ある階には、小振りだが縦長のパイプオルガンが置いてあった。

別の階の踊り場は、奥様の着替え室なのか、カーテンで仕切ってあった。

 

家をちょっとだけ探索させて頂いた後は、

もうすぐ6才になる娘を連れてアンネ・フランクの家に行った。

なぜかというと、そこのすぐ裏の方にあったからだ。

ところが私もその時に知ったのだが、

娘は戦争関係の悲惨な空気に超敏感だった。

順番が来てようやく入場料を払って、さあ、と娘の方を振り向いたら、

何かを感じてもう泣くわ泣くわ。

だが後戻りできない仕組みになっているので、

仕方なく娘の目を覆って、出口まで家中を駆け抜けた。

 

疲労困憊してレオンハルト宅に戻ると、ご夫妻が優しく、

どうしたの?と聞いて下さり、

訳を話すと、マリーは、そうよ、子どもには辛すぎたわね、

とおっしゃってくださり、

その横でグスタフがうんうんと優しい顔でうなずいて下さった。

 

レオンハルト氏は、とてもシャイらしい。

自分で催して、自分の友人ばかりが聞きに来たそのコンサートで、

サロンのど真ん中に主役としての自分の席が用意されていたが、

ずっとドアの外で聞いていらっしゃった。

真ん中に座るのが、どうも照れくさかったのだろう。

わかるけど。わたしも照れくさいと思う。

でも、そこだけ空いている席を見ていて、

コンサートの間中、いつお座りになるのかが気になった。

 

薄明るい夏の夜のコンサートが終わり、

地下と言っても庭とつながっているお部屋で

お食事が出た。

廊下も、どの部屋も、もう暗い時間。

ところが、さすがバロック音楽を極めた巨匠らしく、

どの部屋もろうそくの明かりだけだ。

 

日本人の私の目だと、見えない。

何を食べているのか、見えない。

人の顔も近づかないと、なかなか判別できない。

 

そのバロックの貴族の部屋のような空間から、

一番上の小さくて急な階段を上った自分たちの部屋に着いたら、

電気も付いて、なんだかほっとした。

 

 

次の日の朝は、パーティーのあった部屋で朝食を頂いた。

骨董の食器らしかったし、背をぴーんと伸ばして

お紅茶を頂いた。

(サロンには何代目だったか、柿右衛門の骨董もあった)

 

ざっくばらんなシギシヴァルトとマルレーンが

いっぱいしゃべってくれたので、

それでも多少くつろいで、みなさまのお話を聞き、

貴重なレオンハルトご夫妻のお顔を、見ていた。

 

 

最後は、家の前でみんなで記念撮影をさせて頂いた。

 

家宝にとってある。きっとどこかにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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